第5章 限りない未来に向かって


現代の高度情報化社会は、人間を最も重視する方向に秒進分歩しております。今回はけん玉進化論の「感謝の最終回」です。

(1)コミュニケーション用具とけん玉

狩猟訓練用具、遊戯用具、スポーツ用具へと進化してきたけん玉は、単純な「一人けん玉」から、人間が心と心を溶け合わすことができる「みんなのけん玉」という用具へと確実に進化し続けております。

けん玉が全くできない初心者に、手取り足取り、指導をする日本けん玉協会の公認指導員は、初心者の心を確実に理解し、「楽しいけん玉」を指導できるプロフェッショナルです。けん玉が全くできなかった子供やお年寄りが、ある時突然にとめけんに成功した時の嬉しそうな顔を見ることができたとき、まさにけん玉が初心者と公認指導員との間のコミュニケーション用具になった瞬間です。

(2)けん玉演技者の個人的進化

けん玉を修得していく過程を分析してみると次の3段階に分けられます。まさに個人の進化の過程です。

1)学習段階(10級~四段)

この段階は、「できない」技が多数存在するので、高段者の指導者から教えていただくことが多い段階です。

2)成熟段階(五段~六段)

どんな技でもできるので、細かい指導を受けることが少ない、なんでも「できる」段階です。自信に満ちあふれた技によって社会的な貢献が可能な段階です。

3)悟入段階(七段~十段)

初心者及び低段者に対して、高度な指導が可能な段階です。「できない」技はなく、なんでも「できる」が、むやみに「やらない」段階です。学習段階の人には神格視され、成熟段階の人には尊敬される段階です。

(3)けん玉界の組織的進化

けん玉は、世界的なスポーツとなりつつあり、けん玉界は国際的な広がりを持ちつつあります。けん玉界は、次の様な3段階を経て進化しております。

1)地域偏在けん玉段階 (未組織段階:昭和50年以前)

日本けん玉協会創立以前の、けん玉が別々にイギリス、フランス、日本等に偏在しているまとまりのない段階です。

2)地球規模けん玉段階 (日本けん玉協会の組織成熟段階:現在)

パリ支部等世界的規模の支部の存在が国際的なけん玉界を示しています。

3)宇宙規模けん玉段階(21世紀)

秋山宇宙飛行士による人類史上初の無重力空間におけるけん玉演技の実現は、記憶に新しいところです。無重力宇宙空間や月面上における「全宇宙けん玉道選手権大会」の開催も夢ではありません。「夢は追い続けた者が叶う」ことを日本けん玉協会の会員全員が信じております。

(4)限りない未来に向かっての夢のけん玉

けん玉の価値は様々な状態で存在します。

1)夢のハイレベル技

人間の常識を超えた新しいハイレベル技の研究及び及ぴ演技練習も楽しいものです。

2)夢のハイレベル研究

教育学、数学、工学、歴史学、文化人類学等様々なけん玉研究が可能です。「けん玉学」 という学際的学問の確立は間近です。新しい人材が育ってきております。

夢の実現は、21世紀及ぴ限りない未来に向かって、着実に近づいています。ありがたきかな亡藤原会長!楽しきかなけん玉!

(けん玉進化論:完)

(2000 けん玉通信 No.115 より)